約3年前、ある出来事があって、私はそれまで直視することを避けていた自分の発達障害にきちんと向き合うべきだと思うようになりました。それで、いろいろ調べていく過程で「就労移行支援」という制度があることを知りました。
「ほとんどの人が無料!?今、そんな制度があるの?!」と驚き、新しいスキルを身に付けて就職した数年後の自分の姿をイメージして、これは面白そうだと思いました。そこで、3件見学に行ったのですが、私は料金が高かったので利用するには至りませんでした。
中高年の発達障害者として、この記事ではその辺りの事情をシェアしていこうと思います。同年輩の発達障害の方はもちろん、「利用したいけど不安」「見学で何を聞かれるの?」と悩んでいる方に、今回の体験が少しでも参考になれば嬉しいです。
また、支援者側の方にも、見学者の気持ちなどは参考になると思うので、ぜひご一読いただければと思います。
就労移行支援とは?
就労移行支援とは、「障害者総合支援法」に基づく、障害福祉サービスの一つです。対象者は以下の通りです。
一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)
①企業等への就労を希望する者
つまり、就労移行支援とはスキルアップと職探しをサポートしてくれる施設です。
スキルアップとして、パソコンやソーシャルスキルトレーニング(SST)などが受けられる施設が多いです。職探しとしては、企業見学や面接への同行の他、事業所に来た求人を紹介してもらえるケースもあるようです。
また、就労後に引き続き定着支援を行って切れ目のないサポートを提供してくれる事業所がほとんどです。
実際に見学してみた
就労移行支援にお世話になろうと決めた私は、さっそく自宅から通える範囲にある就労移行支援を3件選び、見学をすることにしました。
見学の流れは、3件ともほとんど同じでした。
- 診断を受けた経緯・職歴を聞かれる
- その事業所の特長・プログラムについての説明
- 質問
- 事業所内をチラッと見る
実際に見学してみて、就労移行支援は事業所ごとに内容がかなり異なるということが分かりました。
どのくらい通うかは個人差が大きいですが、だいたい数か月~1年半ほど、最長で2年は通うことになるので、ご自身の希望や特性に合ったプログラムが受けられるか確認することがとても大切だと思いました。
また、事業所や支援員さん、他の利用者さんの雰囲気、男女比や年齢層なども見学時にチェックできると、安心して契約できると思います。
見学でそこまで聞く?!かなり驚いた!
3件とも、入り口で「〇時に見学のお約束をしていた〇〇と申します」と挨拶すると、すぐに個室に通されて、担当者から診断を受けた経緯や職歴を聞かれました。
私は、それまで医療機関と市役所、家族以外にADHDをカミングアウトしたことがなかったので、会って数分の方に詳しい話を聞かれるのはかなり抵抗感がありました。
利用すると決めて契約してから聞かれるなら分かるのですが、まだ契約するかも分からないのに……事業所側にとっても時間の無駄になる可能性があると思うのですが、何故か3件ともかなり細かいところまで聞いてきて、その内2件はものすごいスピードでパソコンに入力していました。
(話をしながら、ブラインドタッチで入力って、すごいマルチタスクですよね!)
事業所によってプログラムはだいぶ違う!パソコン・SST・軽作業など
見学した1件目は、パソコン系の技術を習得できることを宣伝している施設です。とはいっても、特に授業があるわけではなく、テキストを見て自習するということでした。HPではソーシャルスキルトレーニングもあるとのことでしたが、どちらかと言うとパソコン技術の習得に重点を置いているような印象を受けました。
壁に求人が数件貼ってあり、案内してくれた方が未公開求人も来るとアピールしていました。
2件目は、パソコンの自習やソーシャルスキルトレーニング、グループワークなどをバランスよく行っているような印象でした。
昼食に無料のお弁当が振る舞われるということでした。長期的に通うとなると、お弁当を毎日持参するのは手間ですし、買って済ませるとかなりの金額になるので、これはポイントが高いと感じました。
3件目は、パソコンの自習やソーシャルスキルトレーニング、グループワークなどに加え、軽作業の練習の講座もありました。クリップやパチンコ玉くらいのビーズをケースに指定の個数づつ入れるなどの作業をされている利用者さんも複数人いました。
見学した3件の中では、利用者さんの人数が最も多く、人がたくさんいる!という印象でした。
最も知りたい利用料の説明は?
カルチャーセンターとかスポーツジムの見学に行ったことがある方なら分かってくれると思いますが、普通、この流れからすると次は料金や利用開始の手続き方法の話になりますよね。
ところが、3件ともそういった話がなく説明が終わったので驚いてしまいました。そこで、自分から質問したのですが、料金に関しては「ほとんどの方が無料ですよ」くらいの説明しかないんです……。お金の話は一番大事なのに、どこもはっきりした金額を説明してくれないことに不安を覚えました。
利用開始についても「お手続きに関してもサポートしますよ」みたいな、ふわっとした説明しかありませんでした。
3件そういう曖昧な説明?が続いたので、この業界ではこれが普通なのかな?と感じてしまいましたが、どうなのでしょうか。
※特定の事業所を批判する意図はないため、施設名は伏せています。
市役所でビックリ!意外と高額だった
そのころ市役所の障がい福祉課の窓口に行く用事があったので、ついでに就労移行支援の利用料について質問してきました。結論から言うと、夫の収入も合算されるため、私の場合は月額37,200円が上限額になるということでした。
利用料の決まり方
就労移行支援の利用料金は、原則として費用の1割負担です。けれども、前年度の世帯年収に応じて月額負担料の上限額が設定されています。
| 世帯の状況 | 月額負担上限額 |
| 生活保護受給世帯 | 無料(0円) |
| 市町村民税非課税世帯 | 無料(0円) |
| 市町村民税課税世帯 ※所得割16万円未満、目安として世帯年収670万円未満 | 9,300円 |
| 上記以外 ※目安として世帯年収600万円以上 | 37,200円 |
この上限額にプラスして、交通費や昼食代(購入したり外食する場合)などの費用も考慮に入れておきましょう。
自治体によっては、交通費の補助制度を設けている場合もあります。利用を検討している場合は、お住まいの自治体に問い合わせてみるとよいかもしれません。
また、2件目に見学した就労移行支援のように、昼食が提供される事業所もあります。
【要注意】就労移行支援の利用料は「世帯の収入」で決まる!
この「世帯」とは、本人と配偶者の収入をさします。ご家族と一緒に住んでいても、親御さんの収入は含まれません。
つまり、既婚者の私は夫の収入も合わせて利用料が決まるわけですが「そしたら、一般的なパソコン教室の方が安いかも。ていうか、自分にその金額をかけるより、子どもに遣いたい」と思ってしまいました。
就労移行支援を見学して、料金について質問した時に、普通に先程の表のようなものを見せていただければ、最初の1件目で「やめておこう」と思って、2件目以降は見学しなかったのですが……。3件ともふわっとした説明しかなくて、時間を無駄にしてしまいました。
結局、私は就労移行支援経由で企業に就職することは諦めました。当時、細々と受けていた在宅フリーランスのWebライターをもっと頑張ることにしました。
まとめ
私は利用しませんでしたが、就労移行支援は発達障害のある方が就職活動する場合、とても良い制度だと思います。
特に、支援員さんとの面談やグループワークを通じて、客観的に自分のコミュニケーションの癖を見つめることができるところが魅力的です。発達障害は、残念なことに近年かなりネガティブなイメージがついてしまっているので、採用する企業側の人も不安感があるかもしれません。ソーシャルスキルトレーニングを受講してきたという経験は、良い材料になると思います。
また、就労移行支援から、自分に合った就職口を紹介してもらえる可能性もあります。それに就労後も引き続き定着支援を受ければ、本人はもちろん、採用した企業側にとっても安心材料になるのではないでしょうか。
その後の話
就労移行支援を諦めた後、私は1年程Webライターを続けていましたが、将来への不安が大きくなり、外に出て働くことにしました。
ずっと家庭に引きこもっていた学歴のない中年女性だったので、就職活動は難航して5か月かかりました。
スケジュール管理が苦手なので、就職活動と締め切りの管理を両方するのが難しくて、就職活動を始めてからは新しい仕事をとるのをやめてしまいました。結婚していることで就労移行支援の利用料が高くて諦めたわけですが、夫がいるおかげで5か月無収入でも就職活動できたので、とても感謝しています。
就職活動についてはこちらの記事に書いたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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