大人の発達障害(ADHD)支援制度|税金の控除や就労、医療費など完全ガイド

お薬手帳、障害者手帳、領収証の上に置かれたメモ帳とペン。発達障害の人が使える支援制度のイメージ。 発達障害(ADHD)のこと
※画像出典:photoAC

「みんなは当たり前にできることが、自分は満足にできない……」

そんな「生きづらさ」を抱えながら、それでも必死に頑張っている大人の発達障害の方は少なくないと思います。

実は、発達障害の方の「生きづらさ」が軽減できるような公的な支援制度は、数多く存在します。しかし、これらは待っているだけで届くものではありません。市区町村の窓口へ足を運び、申し込みや相談を行う「申請主義」が基本です。

当ブログの管理人Tomaenyも、40代半ばからこうした支援制度を活用し始めた一人です。自ら調べ、問い合わせや申し込みをするのは、現実と嫌でも向き合うことになるので気が重かったです 。 けれども、一歩踏み出して制度を活用し始めたことで、確実に以前よりも「生きやすくなった」と実感しています。

この記事では、大人の発達障害(ADHD)の方が使える税金の控除、就労支援、医療費助成などの主要な制度を網羅的にまとめました。少しでも楽に、自分らしく毎日を過ごすためのガイドとして、ぜひ役立ててください。

医療費に関する支援制度

発達障害で生活の改善を考えた場合、避けて通れないのが「通院」と「薬」の継続です。しかし、ADHDの治療薬(ストラテラやコンサータなど)は比較的薬価が高く、毎月の医療費が家計の負担になっている方も多いのではないでしょうか。

そんな負担を劇的に軽くしてくれるのが、「自立支援医療(精神通院医療)」という制度です。

障害者手帳がなくても医師が通院治療の継続が必要と判断すれば、自治体の審査を経て受給できるので、「手帳を取るのには抵抗がある」という人でも利用しやすいと思います。

自立支援医療についての記事はこちら↓

ストラテラ(アトモキセチン)の記事はこちら↓

障害者手帳で受けられる支援

精神障害者保健福祉手帳(大人の発達障害の方は主にこれに該当します)を取得すると、経済面や生活面でさまざまな公的・民間の支援が受けられるようになります。

私は実際に取得し、多方面からの支援を受けて、社会と関わるハードルが少し下がりました。先に述べたように、申請することに心理的な抵抗感はありましたが、今では手帳は社会と自分の間にある段差を緩やかに埋めてくれるような存在だと思っています。

税金の控除

手帳を取得すると、所得税や住民税の「障害者控除」が受けられるようになります。控除を受けることで、手元に戻るお金(税還付)が確実に増えるのは、大きなメリットといえるでしょう。

年末調整で申告できますが、勤務先に知られたくない場合は確定申告すると会社に知られずに控除を受けることができます。

私は現在、障害者雇用のパートで、夫の扶養に入っています。その場合、自分の分と夫の分、両方で障害者控除されるため、とても助かっています。

各種割引

手帳のもう一つのメリットは、公共施設やレジャー施設の割引です。疲れやすくて、あるいは段取りが悪すぎてつい引きこもりがちな私が、「外の世界」とつながるきっかけをくれる制度として、感謝しつつ活用させていただいてます。

  • 公共施設: 美術館、博物館、動物園などが無料、あるいは半額程度になることが多いです。
  • 映画館: 多くのシネコンで、本人と介助者1名までが1,000円程度で鑑賞できます。
  • テーマパーク: 大手のテーマパークでも、手帳の提示でチケット代が大幅に割引されるケースがあります。また、待ち列に並ばずに時間を過ごせるテーマパークもあります。
  • 電車やバスなどの公共交通機関や、スマホ、NHK料金などで割引される可能性※もあります。

※収入や手帳の等級、交通機関によって割引されない場合もあります。

障害者割り引きを利用してUSJに行ってきた話はこちら↓

さらに、ミライロIDという障害者手帳アプリでは、さまざまな民間企業の商品・サービスの割引が掲載されています。私は手帳の更新をした際に、手帳の再アップロードをするのを先延ばししていて、現在は使えない状態になっていますが、スマホ画面の提示で各種割引が受けられるため、とても使いやすかったです。

就労に関する支援制度

仕事でのミスが多かったり、職場の人間関係が上手く築けなかったりして、働くことにハードルを感じている発達障害の方は多いのではないでしょうか。かくいう私も、長続きせず短期間で職場を変わった経験が何度もあります。

しかし今は発達障害の方に対する就労支援がたくさんあります。ご自身の状況に応じた支援を受けることで、1人で頑張るよりも働き続けることが楽になるでしょう。

A型・B型作業所

一般企業で働くことが今はまだ難しい、あるいは体調に波があるという方のための「働く場」です。

  • 就労継続支援A型 雇用契約を結び、最低賃金が保証されます。一般就労へのステップアップを目指しながら、サポートを受けて働けます。
  • 就労継続支援B型 雇用契約を結ばず、自分の体調に合わせて短時間から作業ができます。リハビリや居場所づくりとして、無理なく社会とのつながりを持てるのが大きな特徴です。

私は作業所の利用はしませんでしたが、「まずは家を出ることから始めたい」「自分のペースを取り戻したい」という方にとって、非常に大切なセーフティネットです。

就労移行支援

「いきなり働くのは自信がない」「自分に向いている仕事がわからない」という方には、就労移行支援事業所という制度があります。ステップアップの場として働くためのスキルを身につけたり、自分の特性を客観的に分析したりする訓練を、原則2年間まで受けることができます。

私は就労移行支援も利用しませんでしたが、ブランクがある方の再就職の前段階として、とてもいい制度だと思っています。

就労移行支援を見学してきた話はこちら↓

※利用料は婚姻の有無ではなく、世帯収入によって決まります。

障害者雇用

障害者手帳を取得することで、企業の「障害者雇用枠」に応募できるようになります。合理的配慮として、通院のための欠勤や早退、視覚的な指示(メモやメール)のお願いなど、自分の弱点を環境でカバーする交渉が認められています。

また、ハローワーク(職安)には「専門援助部門」や「障害者専門窓口」といった名称の障害者専用の窓口があります。障害者雇用の求人への応募以外に、就職活動についての相談ができるようになっています。

私はハローワークの障害者専門窓口の担当者さんに、履歴書の添削や、合理的配慮をどの程度お願いするかなど、いろいろと相談させていただきました。現在はハローワークで紹介していただいた企業で、事務のパートをしています。ハローワークには、後述する定着支援の機関にも繋いでいただき、本当にお世話になり感謝しています。

障がい者雇用で就職活動した体験談はこちら↓

定着支援

「就職はできたけれど、長く続けられるか不安……」という方に、ぜひ知っておいてほしいのが「就労定着支援」という制度です。

  • 入社後の「困りごと」を解決: 働き始めると、職場の人間関係や業務の優先順位の付け方など、発達障害特有の悩みが次々と出てくるものです。支援員が定期的に本人や企業と面談し、問題が小さいうちに調整を行ってくれます。
  • 家庭生活までサポート: 仕事面だけでなく、生活リズムの乱れや通院の状況など、働き続けるための土台となるプライベートな面についても相談に乗ってもらえます。

発達障害がある私たちは、新しい環境に馴染もうとして最初の一歩で全力を出しすぎ、数ヶ月で燃え尽きてしまう(バーンアウトする)ことが少なくありません。専門家が「伴走者」として職場との間に入ってくれることで、無理なく、自分らしいペースで仕事を軌道に乗せていくことができます。

お金に関するセーフティーネット

豚の貯金箱と小銭、紙幣、電卓が置いてある。発達障害の人が受けられるお金に関するセーフティーネットのイメージ
※画像出典:photoAC

「もし仕事ができなくなったら、どうしよう……」

そんなお金や仕事への不安は、発達障害の特性に悩みながら働く私たちの心のどこかに、常にあると思います。しかし、日本には障害を持つ人の生活を守るための強力な金銭的セーフティーネットが用意されています。

雇用保険(就職困難者としての受給)

失業した際に頼りになる「失業保険」ですが、障害者手帳を持っていると「就職困難者」として扱われ、一般の方よりも給付内容が格段に手厚くなります。通常、自己都合退職などの場合は90日〜150日程度の給付ですが、手帳がある場合は最大で300日〜360日(年齢・加入期間によって異なります)にまで延長されます。

私は障害者手帳を取得してから仕事を辞めたことがないので、まだ利用した経験はありませんが、約1年間、生活の支えがあることは、「自分を追い詰めすぎて、また合わない職場に飛び込んでしまう」という負のループを断ち切るための、大きな力になると思います。

障害年金

障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に制限が出た場合に受け取れる年金です。初診日に厚生年金に加入していたか(障害厚生年金)、国民年金だったか(障害基礎年金)によって、受け取れる金額や対象となる等級が変わります。障害年金=全く働けない人のもの、と思われがちですが、現役世代の発達障害の方も申請して通る可能性がある制度です。

障害年金の申請は、書類の準備が非常に複雑です。また、発達障害(特に精神3級など)での受給判定は近年厳しくなる傾向にあります 。私はまだ申請していませんが、もし申請する場合は無理をせず、社会保険労務士などの専門家を頼ろうと思っています。

まとめ

ここまで、大人の発達障害(ADHD)の方が利用できる支援制度について解説してきました。

私は30代から40代半ばまで、家族としか会話しない日が多くて社会との接点がほとんどない状態でしたが、この記事で紹介したような支援を受けることで少しずつ社会と繋がっていき、現在は週に5日のペースで働きに行けるまでになりました。そこで、社会に対する「ささやかな恩返し」として、私と同じように発達障害を抱えている方に向け、支援制度をまとめてみました 。

もしもこの記事を読んでいるあなたが、「生きづらさ」を感じているようでしたら、こうした社会資源を活用していくことも、一つの生きていくための知恵だと思います。まずは制度を使って、社会に守られているという安心感を得ることから始めてみませんか?

この記事が、あなたが抱えている「生きづらさ」を「生きやすさ」へと変えていく、最初の一歩になれば幸いです。

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